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kazuo_kitai
        「北京」 1999 ©Kazuo Kitai



北井一夫 写真展 「 北京 -1990年代- 」


2015年8月28日 (金) - 10月3日(土)
開廊時間:10:30 - 18:30(土 - 17:30) 日・月・祝日休廊

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 北井一夫は1944年に旧満州鞍山に生まれた。その翌年には引き上げで長崎へ辿り着き、少年期は東京で過ごした。 1965年に自費出版の写真集『抵抗』でデビューし、71年には新東京国際空港建設の反対を巡る三里塚闘争などを撮った『三里塚』を発表する。その対象が社会的関心事であることから、一見するとドキュメンタリー・フォトグラファーとして活動していたかのように見える。しかし、北井にとっての写真は表現以外のなにものでもない。「政治性はなくてはいけない。だけど僕はモノの存在感とかリアリティに対してもっと誠実にやりたい」という北井の言葉は心底本心なのである。そして『北京-1990-年代』はそのことがはっきりとわかる作品の一つといえよう。

 彼が北京を初めて訪れたのは1972年のことだった。戦後まもなく北井を背負って引き上げてきた母は、北井に北京を夢のような場所だと語り聞かせたという。それから二十年の月日が経ち訪れた90年代初頭の北京は、急激な経済成長の最中、目の前で大都市へと変貌を遂げつつあった。もはや「(昔日の北京は)片隅で土埃をかぶり色あせて誰にも振り返られなくなっていた」。彼はなぜこの時期に北京へ行ったのか? それは単なる偶然かもしれないが、89年に天安門事件があり、その後に急激な経済成長へと舵を切る北京は被写体としてあまりに北井らしい。写したのは、壁の落書き、屋台売りの様子や室内でまどろむ人々。“ふつう”や“当たり前”の言わば小さな歴史だ。そして、これらの小さな断片的歴史は、直後に怒濤のように押し寄せるブルドーザーに破壊され、クレーンに乗ってどこかへ消えて行ったに違いない。

 石原は北井の写真について「まるでベートーヴェンの第六交響曲。嵐のあとに訪れる穏やかさがある」と語った。その一瞬の穏やかさが、一人の写真家によって残されていたことを思うと、北井の仕事の尊さを感じずにはいられない。

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北井一夫(きたい かずお)

1944 中国鞍山市に生まれる
1965 日本大学芸術学部中退

〈主な展覧会〉

1978 「村へ」ツァイト・フォト・サロン
1987 「フナバシストーリー」船橋市市役所
1988 「北井一夫写真展」大阪ピクチャーフォトスペース
1990 「いつか見た風景」イルテンポ
1992 「新鳥獣戯画」イルテンポ
1994 「おてんき」イルテンポ
1996 「鳥虫戯画」イルテンポ
1997 「北京」イルテンポ
1999 「三里塚」イルテンポ
   「湯治場」ツァイト・フォト・サロン
2004 タイムトンネルシリーズ「時代と写真のカタチ」ガーディアンガーデン
2005 「ツバキと電線」ギャラリー冬青
2006 「80’フナバシストーリー」ギャラリー冬青
   「ライカで散歩」アートスペースモーター
   「村へ」東京国立近代美術館
2008 「ドイツ表現派1920年代の旅」ギャラリー冬青
2009 「Walking with Leica 」ギャラリー冬青
2010 「Walking with Leica2 」ギャラリー冬青
   「中国1973」禅フォトギャラリー
2011 「西班牙の夜」ギャラリー冬青
2012 「Walking with Leica3 」ギャラリー冬青
   「BARRICADE」Harpers’s Books Gallery
   「いつか見た風景」東京都写真美術館
   「神戸港湾労働者」ギャラリー冬青
   「過激派」禅フォトギャラリー
   「村へ」など 小宮山書店
2014 「COLORいつか見た風景」キャノンギャラリーS

〈受賞〉

1972  日本写真協会新人賞を「三里塚」で受賞
1976  第1回木村伊兵衛賞を「村へ」で受賞
2013  日本写真協会作家賞を「いつか見た風景」で受賞

〈主な出版〉

1965 写真集『抵抗』未来社
1971 写真集『三里塚』のら社
1972 アサヒグラフ連載「沖縄放浪」「フランス放浪」
1974 アサヒカメラ連載「村へ」(1977年まで)
1976 写真集『村へ』朝日新聞社
   写真集『渡し船』角川書店
1978 写真集『ロザムンデ』習志野市役所
1979 写真集『境川の人々』浦安市役所
1980 アサヒカメラ連載「ドイツ表現派の旅」
   写真集『村へ』淡交社
1981 写真集『新世界物語』長征社
1982 写真集『北越雪譜の世界』角川書店
   写真集『英雄伝説アントニオ猪木』柴田書店
1987 写真集『信濃遊行』ぎょうせい
1989 写真集『フナバシストーリー』六興出版
1990 写真集『いつか見た風景』蒼穹舎
1992 写真集『自然流日本酒読本』共著 農文協
1994 写真集『おてんき』宝島社
1995 朝日新聞連載『鳥虫戯画』
2000 写真集『三里塚』ワイズ出版
2001 写真集『1970年代NIPPON』冬青社
   写真集『1990年代北京』冬青社
2005 日本カメラ連載『ライカで散歩』(2013年まで)
2006 写真集『80年代フナバシストーリー』冬青社
2008 写真集『ドイツ表現派1920年代の旅』冬青社
2009 写真集『Walking with Leica 1』冬青社
2010 写真集『Walking with Leica 2』冬青社
2011 写真集『西班牙の夜』冬青社
   写真集『Walking with Leica 3』冬青社
2012 写真集『BARRICADE』HARPER’S BOOKS
   写真集『いつか見た風景』冬青社

〈主なコレクション〉

船橋市役所
東京都写真美術館
宮城県立美術館
東京国立近代美術館
シカゴ美術館

 

Kazuo_Kitai
「北京」 1997 ©Kazuo Kitai

Kazuo_Kitai
「北京」 1996 ©Kazuo Kitai