Ishihara Etsuro and
ZEIT-FOTO SALON Archives

「石原悦郎とツァイト・フォト・サロン アーカイブズ(I & ZFA)」は、日本で最初の商業的写真画廊ツァイト・フォト・サロンの創業者である石原悦郎(1941〜2016)と、石原が創設したツァイト・フォト・サロンの記録と記憶を残すことを目的として、アーカイブ活動を行う任意団体です。
アーカイブの主な中身は、石原の元に届けられた写真家や美術館、芸術関係者から届いた膨大な手紙を中心に、それら書簡、スナップ写真、展覧会のダイレクト・メール、生前のインタビューや、雑誌記事等からなります。
これまで、1700通近くの書簡を整理し、デジタル化を実施いたしました。また、石原悦郎からの手紙の所在を求める目的を兼ねた、書簡展を2回開催しております。資料体としても魅力的なものが多く、今後、美術関係者を中心とした調査・研究活動に活かしていただける生きたアーカイブにしていくことを目指しています。
2018年11月から2021年12月までは、DNP文化振興財団グラフィック文化に関する学術研究助成採択研究(2018・19年度)として本活動を実施してまいりました。長期にわたるご支援で、その時点で確認されていたすべての書簡の記録を採り、デジタル化することができました。現在は、このアーカイブの活用に向けた試験運用のため、手紙の差出人である作家の方々へご協力の依頼を行っているところです。
また、新たな手紙の発見やプレスリリースといった作家に関連する資料の整理も新たな課題となっており、その登録とデジタル化を進めております。
これだけでも十分に歴史的価値のあるモノではありますが、特に書簡は一方通行で、差し出された方々に対して、石原がどのような返答をしたのかということまでは、なかなか読み取ることが困難です。
I & ZF Archivesでは、石原悦郎及びツァイト・フォト・サロンからの手紙の収集に向けて、呼びかけを行わせていただきたいと思います。もし、お手元に石原悦郎そしてツァイト・フォト・サロンからの手紙や関係資料をお持ちでしたら、ご一報くださいませ。
2024年1月より、小笠原敏晶記念財団の調査・研究等への助成を受け、今後の運営に関する調査を実施いたします。
This archives began in March 2018 as the "Etsuro Ishihara and ZEIT-FOTO SALON Archive Project." Its purpose is to preserve the records and memories of Etsuro Ishihara (1941-2016) and the ZEIT-FOTO SALON he founded.
The main contents of the archive consist primarily of a vast collection of letters received by Ishihara from photographers, museums, and art-related individuals, as well as these letters, private snapshot photographs, exhibition direct mailings, interviews, magazine articles, and more.
From November 2018 to December 2021, we conducted this project as part of the DNP Foundation for Cultural Promotion's Academic Research Grant on Graphic Culture (2018-19 fiscal years). With the generous support received over this extended period, we were able to record and digitize approximately 1600 letters. Currently, we are in the process of conducting a trial operation for the practical utilization of this archive and have begun requesting cooperation from the writers who are the senders of these letters.
Furthermore, organizing materials related to writers, such as the discovery of new letters and press releases, has become a new challenge, and we are progressing with their registration and digitization.
While these materials hold significant historical value, particularly the letters, which are mostly one-way correspondence, it is often challenging to discern Ishihara's responses to the senders.
We would like to appeal for contributions of letters and related materials from Etsuro Ishihara and ZEIT-FOTO SALON. If you possess any such materials, please do not hesitate to contact us.
Furthermore, from January 2023, we will conduct research on the operation of the archive with the support of grants from the Toshiaki Ogasawara Memorial Foundation for research and investigation.
石原悦郎とツァイト・フォト・サロン アーカイブズ
「作家からの書簡リスト」について
本リスト(下記に掲載のPDF)は、日本で最初の商業的写真画廊であるツァイト・フォト・サロン(1978〜現在)と、その創始者の石原悦郎(1941〜2016)の活動内容に関する史料の整理、保管を目的とした任意団体「石原悦郎とツァイト・フォト・サロン アーカイブズ」により、これまでアーカイブしてきた史料のうち、作家からの書簡類を分類しまとめた所有内容のリストです。リスト内にある書簡はすべて、所有元である株式会社ツァイト・フォト内にて保管されています。
・アーカイブの経緯
ツァイト・フォトは1978年の創業以来、3度移転を経験いたしました。当アーカイブが保管、管理する史料は、引越しの際にも処分を免れてきた、主に作家からの書簡を中心としています。
石原悦郎は、これらの書簡を処分せずに保管してきました。ただ、それらは綺麗に整理されておらず、3箱分の文書箱にランダムに入った状態でした。石原が読み終えた書簡は、お菓子の空き箱などに一度仕舞い、一杯になると画廊内にあるダンボールにスタッフが入れ、それも一杯になると、契約倉庫の中に保管というサイクルで長年蓄積されてきたものです。また、石原は筆まめなところがあり、必ずと言って良いほど返信を出していました。時代に合わせて返信方法も、FAXや電子メールに変わってきましたが、おそらく多くの作家の元に石原からの手紙が届いていたはずです。
さて、文書箱以外にも、いただいた作品集の間から出てきたものなど、出所は様々でしたが、それらを集めるとかなりの分量になることは目で見ても明らかでした。
一部の書簡は一度、石原の評伝『写真をアートにした男 石原悦郎とツァイト・フォト・サロン』(小学館、2016)の執筆の際、当アーカイブの粟生田弓により使用されましたが、これをひとつの契機に書簡の重要性を再確認し、改めて全貌を明確にするためにも、書簡の整理に着手することになったのです。
2018年11月からはDNP文化振興財団グラフィック文化に関する学術研究助成を得て、「アーカイブ」という言葉を意識した上での本格的な整理が始まりました。作業は、元ツァイト・フォト・サロンのスタッフであった野村ニナとともに、国立移転後のツァイトを支える鈴木利佳の協力の元に実施し、アーカイブの関連業務は可能な限り当時を知るスタッフで行なってきました。この助成期間中には新型コロナ・ウィルスのパンデミックを経験しましたが、断続的でも整理を続けることで、1700通近くの書簡をデータベースに登録し、スキャンデータの作成を行いました(2025年3月20日時点)。
また、2024年からは小笠原敏晶記念財団調査・研究等への助成(現代美術分野)を得て、こうした小さなアーカイブの未来を考える調査を実施し、ここではアーカイブ自体の継続方法や、孤立しないためのネットワークの構築、ダーク・アーカイブに光があたるまでの時間をどう考えるか、といった課題について検討をいたしました。
・アーカイブの輪郭
作家からの書簡で最も古いものは、アンリ・カルティエ=ブレッソンから届いた1977年10月19日付のものです。アーカイブの中心は、石原悦郎が生前にやり取りした書簡からなり、作家以外のものを合わせて1700通ほどです。ただし、ツァイト・フォト国立として受け取った書簡でも、石原と交流のあった作家からの手紙は関連書簡として同様にアーカイブの対象としております。
ここに掲載したリストはその中から作家の書簡に限定したものとなります。
その他には、画廊の内外で撮影されたスナップ写真、プレスリリースに関する資料がございます。展覧会のDMは、株式会社ツァイト・フォトの管理となり、アーカイブとは別管理です。
(2025年3月20日時点)
・書簡群 1700通あまり
・スナップ写真 (整理中)
・プレスリリース関連資料 (整理中)
・その他(つくば写真美術館関連グッズ他)
・アーカイブ方法について
書簡のアーカイブ化は次の通り実施いたしました。
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IDの採番とデータ登録
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デジタル・スキャン
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原資料の保存
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クラウド上での検索
<目的と対象について>
本リストは、将来的な日本の写真やヴィジュアル・アーツ研究、メディア研究等に寄与することを目指して、試験的運用を目的に公開しております。研究・教育を目的とした研究者や大学院生の方々からの問い合わせを受け付けております。なお、商用利用は基本的に不可となります。
<閲覧について>
問い合わせの上、対面での閲覧が可能となるのは現在マーキングした書簡群となります。それ以外の閲覧をご希望される場合等、詳細はメールにてお問い合わせいただけますよう、お願い申し上げます。リスト内には、書簡数と期間が掲載されておりますが、期間中、毎年届いていたということではなく、その間に受け取ったという意味となります。内容についてあらかじめご相談がある場合には、メールにてお問い合わせください。なお、作家の同意内容に応じて、対応内容は個別に変わります。ご期待に添えない場合もあるかと存じますが、あらかじめご了承ください。
<ご提供について>
各書簡の内容については、電子化されたデータでの提供は控えさせていただきます。誠に恐れ入りますが、来訪での閲覧となりますことをご了承くださいませ。また、複写の対応は行なっておりません。
<ご使用について>
論文等への掲載で本リスト内の書簡をご活用いただく際には、利用者による著作権者への使用許可を必要とするものが含まれております。また、ご掲載に際してはクレジット表記を入れていただくようお願い申し上げます。クレジット表記は作家ごとに異なりますので適宜お問い合わせください。
<問い合わせ先>
石原悦郎とツァイト・フォト・サロン アーカイブズ
メールアドレス:archive@zeit-foto.com
お問い合わせの際には①お名前、②ご関心のある資料、③その利用目的を書き添えていただけますようお願い申し上げます。確認後、こちらからお返事を差し上げます。なお、当アーカイブの活動日時は不定期となりますので、お返事までお時間を頂く場合がございます。あらかじめご了承ください。
住所:〒186-0004 東京都国立市中2丁目22−33 株式会社ツァイト・フォト内
Events
オンライン公開会議
「小さなアート・アーカイブの持続可能性について」
事例「石原悦郎とツァイト・フォト・サロン アーカイブズ(I & ZFA)」の作られ方を通じ、
小さなアート・アーカイブの課題について話し合います
<企画趣旨>
アート作品やアーティストを理解するとき、多くの人は情報を収集すると思います。なかでも、それにまつわる「当時のこと」は誰もが知りたがる重要な情報です。
私たちは、石原悦郎(1941-2016)が1978年に設立した日本で最初の商業的写真画廊ツァイト・フォト・サロンのスタッフでした。ギャラリーは、日々、アート作品やアーティストが行き交う、まさにアートが生成されていく現場です。そこには、まさに「当時のこと」が日々、積み上げられていました。ところが、2016年に石原悦郎が逝去すると、ギャラリーは一旦閉じ、運営機能を残しつつ引越しすることになりました。
引越し自体はこれで3回目でしたが、これまでと違うのは、一区切りの整理をつけるという意識があったことです。物量も減らさねばなりませんでした。このとき以降、「売り物ではないけれど、貴重なモノ」をどうするかが課題となりました。それが、現在の当アーカイブ発足のきっかけです。結果的に、それらの一部(主に書簡)を文化財団の助成金等を活用させていただきデジタル化するところまで行うことができました。でも、そのあとは?
この会議では、
「捨てたくないけど、本当に価値があるの?」
「アーカイブはどうやって作るの?」
「アーカイブの活用とはどういうこと?」
「どうやって管理していけばいいの?」
これらの疑問や課題について、私たちが通ってきた経験を事例に、アート・アーカイブの専門家の石本華江氏、松山ひとみ氏をゲストに話し合います。
私たちと同じような規模で、同じようなお悩みを抱えている方と情報共有の場となれば幸いです。
<開催概要>
開催日時:2025年3月10日(月)
19:30〜21:00
開催方法:オンライン(Zoom)
参加人数:30名
参加登録:下記のGoogle Formからのご登録をお願いいたします。( 定員になり次第、受付締切りとなります。)
満員になりましたので、応募を締め切らせていただきました。
参加URL(Zoomのリンク先)を前日の15時ごろにメールでお送りします。
メールアドレスの入力間違いがございませんよう、お気をつけくださいませ。
2025.3.9
15時ごろに、参加URLを送信させていただきました。
メールアドレスに誤りのある方がおられます。
当アーカイブからのご連絡がない方は、ご連絡をいただけますようお願い申し上げます。
<タイムテーブル>
第一部(15分)
I&ZFA活動報告
第二部(60分)
ゲスト陣とのディスカッション
テーマ1:管理について
テーマ2:アーカイブのリスト公開(※)と活用に関して
※ 公開とは個別書簡のデジタルデータを公表ではなく、所有物リストを公開することです
質疑応答(15分)
<出演>
・ゲスト
石本 華江(いしもとかえ)
慶應義塾大学アート・センター所員、土方巽アーカイヴ担当学芸員、慶應義塾大学文学部・同大学大学院非常勤講師。デジタルアーキビスト。02 年より和栗由紀夫+好善社、03 年 より Co.山田うんの活動に参加する。土方巽の作舞法「舞踏譜」を現在に伝えるため研究会 POHRC (Perspectives on Hijikata Reseach Collective)を日英米にて 11 カ年に渡り主催し、また自身も講師として香港、バリ、メキシコなど 14 カ国に招聘される。ソロ作品も含め、アジアやヨーロッパを中心に 21 ヶ国 で上演を行った。
松山 ひとみ(まつやま・ひとみ)
視聴覚メディアアーキビスト。アムステルダム大学大学院(MA, Preservation and Presentation of the Moving Image)修了後、東京国立近代美術館フィルムセンター(現・国立映画アーカイブ)特定研究員(2014-2016 年度)として、ウェブサイト「日本アニメーション映画クラシックス」の構築・公開などに従事した。2017年からは関西に拠点を移し、大阪中之島美術館アーカイブズ情報室の開設を担う。所蔵美術資料の可視化のため、収蔵フローの見直し、データベース構築のほか、利用者サービスの導入・運用を行った。現在は、国立公文書館認証アーキビストとして、記憶機関のアーカイブズ整理・運用相談などに応じている。主な関心は、映画・映像文化の長期保存と活用に関わる専門知識やスキルの継承。
・石原悦郎とツァイト・フォト・サロン アーカイブズ
粟生田弓、野村ニナ
・進行管理
小田川悠
<主催>
石原悦郎とツァイト・フォト・サロン アーカイブズ
<助成>
公益財団法人小笠原敏晶記念財団
<お問い合わせ>
石原悦郎とツァイト・フォト・サロン アーカイブズ事務局
メールアドレス:archive@zeit-foto.com